しばらくの間私も声をこらえつつ泣いてしまった。感情にまかせて言ってしまった言葉はもう返らないし、まなみを癒やすどころか傷つけてしまった自分に自己嫌悪を突き刺した。かなりの時間ロスは黙ってそばにいてくれていた。そして携帯を眺めていた彼がかすれかけの驚いた声で呟いた。
「まなみ、5人のグループチャット抜けてる」
ロスの携帯の画面を覗く。メンバーがいつの間にか4人から5人になっていた。どうしようという気持ちが脳内を支配し、涙がまた出てくる。
「どうしよう、誠也になんていおう」
「言い合いしたって言おう」
慌ててロスを見る。彼も少し焦っているような表情だった。
「私が一方的に言っちゃっただけなのに」
「まなみには悪いし事実改変しちゃってるけど、誠也にはショックでかすぎると思うんだ。最近大変みたいだしさ」
「今度会ったときに言おう…」
涙をぬぐう。ロスも頷いていた。まなみの何も言わないであろう消極さに甘えた形となった。

 2人だけの静かな帰り道は、いつもよりも冷たく寂しかった。