もやっと胸を刺した。何も言えない。あれは俺らが今よりも幼かったからできたことなのかもしれないし、ふざけていたからこそできる話なのかもしれない。それは否定できなかった。
「じゃあとりあえずあだ名呼びやめるわ」
「うん」
ふとロス…初の方を見る。ちょうど終わったようで、こちらに駈け寄ってきた。
「俺の方が遅かったか。ごめんごめん」
「いや大丈夫大丈夫!次どっかいくの?」
「アイス食べよ」
「おっけ」
気づいたら先ほどのぶすくれた表情はなくなっていた。久々に会ったからか、不思議な感覚に陥る。どこかで見たことあるような対応。数秒だけの感覚も切り替えようと、まばたきをする。
 初の無表情に少しだけ嬉しそうな感情が見え隠れしていたのは俺の心を安心させてくれた。相変わらず、ゲームセンターを出てもクラ…春希は楽しそうに初とわいわいとアイスを食べながらだべっていた。俺も笑っていたが、あだ名がいやと言う言葉は胸にしこりとして残っていた。
「あと電車まで一時間半か」
気づいたら四時半を過ぎていた。出入り口の近くに設置されているベンチに3人で座っていた。段々と初にも疲れが見えていた。
「リトに連絡した。もうすぐくるって」
「お、そろそろか」
春希が立ち上がり、のびをする。