当然、こんな時間に起きて一日を優雅に過ごせるわけなんてなく、一度床でうたたねをし、気づいたら午前7時半を針がさしていた。朝日の主張がうるさく床で寝たため体が痛くなっていた。
「最悪かよ…」
眠い目をこすりながら、俺はようやく本日初めて自室からでた。何か食べ物をとろうと台所へ行くが、もう誰もいなかった。ああ、そうか。父親と兄はもう仕事か。特別朝飯が用意されているわけでもないので冷蔵庫周辺を漁る。…今食べたい欲求とものが一致するのは飲みかけのコーラと菓子パン。仕方なしに口に入れ、何とか空腹を回避した。

 自室に戻り、床に放置されていた携帯を確認する。
「よ。久しぶり」
誠也から連絡が来ていた。よく考えたら誠也は高校2年生だ。これくらいに連絡したほうがちょうどよかったのだろうか。胸の高まりを抑えながら、返信する。
「突然で悪いけどさ、俺ら、また5人でつるみたいんだよね」
「なおやういと連絡取れないから誠也に」
「頼る形になるんだけど」
すぐに返信が来る。
「え、まじか。そう思うのはうれしいけど、奈央は特に壁は大きいと思うよ。たぶんだけど」
「わかるっちゃわかる」
「かかわってみないとわかんないところあるけどね」