後悔はしている。誰が1番悪いといったら恐らく私がだろう。春希は奈央の気持ちを知らないだろうし、奈央の気持ちを知っていたのにもかかわらず後先考えず行動した私にどう考えても非がある。好きな人間を味方したいのは当然で、初も責められない。ただ、分断している私たちどちらとも連絡をとってくれている誠也には感謝をしなければならないことはわかる。1番の被害者は誠也だ。
 
 電話を切り、数時間。悶々とした脳みその空気を抜きたい。1人の空間では罪悪感に耐えきれなのだ。そこで私は幾日も考えて出した1つの案を春希に提案した。
「また、春希はいやかもしれないけど、中学の頃の5人で仲良くしようと努力したいんだよね」
メッセージを送る指は震えた。送ってしまったと心臓がバクバクする。しかし、すぐにかつ思ったよりも円滑な答えが返ってきた。
「俺は別にいいと思うよ。俺誠也の連絡先しか持ってないけど」
「うん、ありがとう。それは大丈夫。私も初くんと誠也くんの連絡先しか持ってない。けど、誠也くんが2人の連絡先持ってるはずだから、頼めばいけるかも」
「なんとなくまた関係切れそうな気がするけどな」
「それでも私が満足したいからさ」
少しだけ間があいた。
「いいじゃない?俺は協力するよ」
春希の優しさに涙がでそうになった。ありがとう、と返し急いで初の連絡先を探す。最後に話した記録が痛々しい。いつになくとげのある一言、二言。それを私はごめんなさいの一言で返していた。

 誠也に向け、ぽちぽちとメッセージを打つ。こういう自発的な動きは苦手で心臓がバクバクしている。けれど、もう見えない不安でずきずきと苦しむのはごめんだ。
「誠也くん久しぶり」
この時の私は、少しだけかもしれないが「罪悪感を感じてしまうのをやめたい」…、「変わりたい」と切に思っていたのだ。