「大丈夫、昼間寝ようかなって思ってるし」
「ならいいかぁ」
気遣わせてしまう自分の幼さを感じる。春希の方からもがさがさ、しゃーっと音が聞こえる。少し考えていた。半年前に遊びに行った春希の家、部屋。普段の性格とは想像できないくらい綺麗だった。少しだけ殺風景で。うまくいえないけど空っぽさを感じたことを思い出す。少しだけ沈黙が流れる。
「眠い?」
「…うん、ちょっと眠いかなぁ。」
嘘。
「んじゃ寝るか。俺今日友達と会うから起きてるわ」
「明日に響かないようにね」
「おうよ、またね。…好きだよ」
「私も好きだよ、おやすみ」
へへっと笑い、春希から通話を切った。暖かい。春希と恋人になって1年がたつけれど、好きだなぁという気持ちで満たされていく。

 こういう1年や記念日を数えるたび、私は罪悪感に襲われる。これも自業自得なのだけれど、どうも、それを割り切ることができない。布団に横たわりながら私は、奈央や初のことを考えていた。1年くらい前か。私と春希がつきあい始めた。実をいうとその時の私は春希に対してあまり感情がなかった。好かれているということが嬉しくて満たされて、受け身に承諾してしまったのだ。…まあ、奈央は春希の事が好きで、初は奈央のことが好きという複雑な人間関係だったものだから、トラブルが起き、現在彼らと連絡が取れない状態にあるわけだ。