昨日買った1リットル紙パックのオレンジジュースを取り出し、自室へ抱えていく。兄や両親がいないこの時間は俺にとって至福の時間だ。1人の時間が俺は好きなのだ。自室の部屋にジュースとコップを置き、布団に寝転び、本日は1年前のことについて考えを巡らせた。
 
 過去、俺たちは5人で仲が良かった。仲が良いというよりもなぜか一緒にいてしまう関係というか。そこまで仲の良い5人ではなかった。5人、という響きはどことなく不穏に感じるだろう。そう、1人か2人は裏切り者が出るのだ。その中のうち3人が俺、リト、ヒロ。そして俺やリトが避けているのがクラという男と姫という女。
 俺らの暗黙の了解であると思っていた「5人であくまで友情を育む」というものが1年前に破られてしまったのだ。この暗黙の了解は他の立場からすれば存在しなかったと感じるかもしれない。少なくともクラや姫にはなかったんだろうと推測する。クラと姫がつきあい始めた。クラのことが好きだったリトはショックを受け、リトの事を好いていた俺は有無を言わさずリトへ味方としてついたわけだ。…まあ。進路がばらばらな中学校のころの拙い友情が3人だけでも維持できているほうが珍しいし、誇るべきなんだろうけどさ。
 目をつむる。課題とかテストとか何も考えずにいたかった。
 ヒロはどこまで知っているのかわからないが、俺もリトも不純な考えからの行動で綺麗な友情など存在しなかったのではないかと思っている。概念を借りであまり接点のない5人の友情をつなぎ止めようとしたことがそもそもの間違いだったのかもしれない。そういいつつもリトと友情ごっこをしてしまっているのではないかと罪悪感を感じている自分もいる。