「ん」


そういうと、翼くんは
あたしの靴箱からローファーを取り出し、揃えて置いてくれた。


そして、翼くんも自分の靴箱から
ローファーを取り出して何も無いかのようにスッと履いた。


一方で、あたしはただそれをボーッ、と見つめていた。


だって、ありえないじゃん?

翼くんがあたしのために
靴をわざわざ出してくれたんだよ?


もう、そろそろ自惚れしちゃうよ?


「何突っ立ってんの?早く履けよ」


翼くんはポケットに手を突っ込んであたしを待ってくれている。

その姿までもがかっこよく見える。


「あっ…今すぐ行きます…!!」


慌ててローファーを履いて、
トントンッ、と地面で音を鳴らす。