「誰がバカだって?」
「ひぇ…!?」
翼くんはいきなり、立ち止まった。
あたしの視界に入ったのは
頬をピクつかせている翼くん。
や、やばっ……
まさか、口から出ちゃってた……?
無意識に口元を触る。
「怒らねぇから言えよ。な?」
お、怒らないとか言ってるけど、
もう既に怒ってますよね…!?
「翼くんの嘘つき!!
もう怒ってるくせ…にゃあ…!!!
ひょっとひゃにひゅるにょよ(ちょっとなにするのよ)」
反論しようとしたら、
翼くんがあたしのほっぺを両手でつまみ、まともに喋れなくなった。
と、同時にあたしの頬に翼くんの手が……
なんてことも思ってしまった。
「俺にバカって言ったのはその口か?なぁ」



