あたしの書いた“翼くん”という文字の裏側に
男の子の可愛らしい絵が書かれていた。
あたしはこんなに絵上手くないし
…ってことは…翼くんが書いたの?
「こ、これ…」
「そんなに俺のこと好きならこれでも見とけ」
ふわっ、と笑う翼くんにあたしは目を奪われた。
「これは第二の俺だからな。消すなよ」
消すなよって…本来の消しゴムの意味がなくなっちゃうよ。
でも、この消しゴムはあたしの宝物だ。
翼くんがあたしの消しゴムに
可愛い自分の絵を書いてくれたんだから。
「け、消そっかなぁ〜…?」
冗談で言うと、真顔の翼くんの口が開いた。
「お前のくせに生意気だな。
この翼様がせっかく描いてやったのに消すのか?なぁ?どうなんだ?おい」
机の上にあったシャーペンを手に取り、
あたしのおでこをツンツンとつついてくる。



