「王子があんたのために嘘をね~……」


何かを考え込むように黙り込んだ朱里。


「やっさしいよね~!!」


やっぱり、あたしの好きな人は優しいや。

ちょっとバレやすい嘘だったけど、
二人とも見事に信じてくれたし。


「まあ、ほんとにそうならいいんだけど」


「えっ…?なにが?」


「あんたを庇うためについた嘘ならいいってこと」


「だーかーら、さっきから言ってるじゃーん!」


「はぁ~…ったくあんたは疑うことを知りなさいよ」



あたしの前で何故か深くため息をついた。

あたしは普通に疑うことぐらい分かってるんだけどなぁ。