「…懐かしいなぁー…」
この教室で一緒に黒板を消してくれたり、
二人で日誌を書いたことを今でも忘れられずに鮮明に覚えている。
ポケットからそっと消しゴムを取る。
結局、使うのがもったいなくて新しく消しゴムを買ってこっちはお守り替わりにしてたんだったな。
その消しゴムにはあたしが書いた“翼くん”という文字。
その裏側を見れば、翼くんが書いてくれた翼くんが笑ってあたしを見ている。
もう一度……あたしにこんなふうに笑ってくれないかな。
「もう、消しちゃおっかな…」
どうせ、諦めるんだったらこんなのいつまでも残してても仕方ない。
でも……なかなか消すという行動に移せない。