でも、たくさんの人の力を借りてもう気づけたから

莉乙へのこの溢れだしそうなほどの想いに。



「んじゃあ、俺はこれで。さようなら~」


くるり、と後ろを向き手のをひらひら、と振りながら帰っていく伊藤。

なんだかんだいっていいやつだよな、アイツ。

やっぱり、伊藤は自分のことよりも相手を優先する優しいやつだった。


「伊藤、ありがとな」


そういった声は伊藤に聞こえたかはわからない。

でも、伊藤が左手をあげたのを見て

たぶん聞こえたんだと思った。