【完】俺様王子とKissから始めます。




あの頃は楽しかった。

戻れるなら戻りたいぐらいだ。

もし、戻れたなら「好きだ」と言って抱きしめて俺のもんにするのに。

誰の手にも渡らないように強く俺の腕の中にアイツは閉じ込めてギュッて抱きしめんの。


あー…、こんなこと思っても無駄なのに。


ただの俺の願望と欲望と妄想なだけ。


莉乙の気持ちは俺の方になんか戻ってこない。

そもそも、俺そんなにいい男じゃねえし。


独占欲は強いし、俺様で自分勝手だし、

みんなみたいに優しくねぇし、

思わせぶりなことばっかしてたし。


悪いとこばっかじゃん。

いいところなんて一つも見当たらない。


それに比べて伊藤は?


優しいし、人のこと優先するし、たまに強引だけど自分勝手じゃないし。


俺、勝てるとこなくね?


情ねぇな……なんで莉乙が俺のこと好きだったのか不思議なくらい俺は最低なヤツ。


でも、俺はもうあとには引けないぐらい莉乙が好きになっているんだ。