「ほんとに…もう一回、やり直せない?」
潤んだ瞳で俺の顔を見つめる。
少し前の俺ならギュッと抱きしめて頭を撫でて
「俺たち、やり直そう」なんて言ってたと思う。
でも、今はそうはできない。
俺が今、抱きしめたい…触れたい…優しくしたい…と思うのは莉乙なんだ。
「ごめん。俺は千鶴のこともう幼なじみとしてしか見れない」
恋愛対象外だと思っていた莉乙が
いつの間にか恋愛対象内になっていた。
そして、恋愛対象内だと思っていた千鶴が
気付かないうちに恋愛対象外になっていたんだ。
“好き”って気持ちがこんなにも人の心を変えるなんて思ってもなかった。
やっぱ、人生って自分でも何が起こるか分からないと改めて感じた。