翼くんのことを考えてるだけで楽しくて、幸せだった。
翼くんを好きになってなかったら、こんな悲しい思いも楽しい思いも経験することもなかった。
そう思うと、翼くんはあたしとって
いつまでも大切な人には変わりはない。
翼くんに恋したからいろんな思いを経験してあたしは少し成長できたと思う。
だから、今度こそあたしは翼くんを諦めなきゃいけない。
今すぐは無理だけど、
ちょっとずつちょっとずつ…思い出にしていくから……。
「うぅ…つ、ばさくんっ……す、き……」
行き場のない想いをしんみりとした薄暗い廊下に吐き捨てた。
止まらない涙をカーディガンの袖で拭いながら、翼くんへの想いを封印しようと決めた。