数学のノートは諦めて、早くここから立ち去らなきゃ…と思うのに足が動かない。
だって…教室で話している男女とは、
────…翼くんと千鶴ちゃんだったから。
どんな会話をしてるのか気になってそっと二人の会話に耳を傾けた。
盗み聞きなんて良くないって分かってる。
でも、気になるんだもん。
これで傷つくような会話をしていても盗み聞きをしていた自分のせい。
いわゆる、自業自得ってやつ。
「ねぇ、翼…ほんとに当日キスするの?」
二人が話していたのは文化祭の劇の話だった。
あたしはそれを黙って教室のドア付近の壁にもたれて聞いていた。
翼くんはなんて返事をするのか…とあたしは胸をドキドキさせながら聞いていた。



