もっと可愛かったらなぁー…
とか、すぐ“もしも”のことを考えるのはあたしの悪い癖だ。
すぐ舞い上がるし、すぐに落ち込むし。
まったく困った性格だと自分でも思う。
「はぁー…」
台本を片手に深いため息をつく。
なんであたしは翼くんじゃないとダメなのかな。
もうこれを思うの何回目だっけ?
それぐらい嫌になるのに嫌いにはなれない。
むしろ、日が経つにつれて好きになっていってるんだもん。
“好き”って気持ちは不思議だなぁ。
「ため息つくと幸せ逃げちゃうよ」
「い、伊藤くん…!」
あたしに声掛けたのは、王子のボディーガードの騎士役の伊藤くん。



