「でも、大好きにはなれないんだよ…」


そんなの付き合ってみないと分からないって?

そんなの翼くんと比べっちゃってる時点で翼くんの方が気持ちが上回っているという何よりの証拠。


好きにはなれても、大好きには辿り着けない。

大好きになれる人なんてほんとに少ししかいないと思う。


みんな、“好き”止まりで。

翼くんだけが“大好き”に辿り着いてる。



「あたしは叶わないって分かってても翼くんが好きで、大好きで。

いつか、あたしに振り向いてくれる日を信じて想い続けたいの…」



もし、翼くんが大切な人と一緒になったときにあたしは今度こそ諦める。



「そっか……なら、仕方ないね。
ごめん。俺、お試しとか言っちゃって。
ほんとに好きだったからさ……

向井が嫌になったらいつでも俺の所に来ていいからね」


伊藤くんはそういい、力なく無理やり笑った。

ごめんね…伊藤くん。

あたしのこと好きになってくれたのに応えられなくて。