「いいえ。じゃあ、見に行こっか」
あたしたちは、映画館に向かった。
そして、あたしの強い希望で今話題の恋愛映画を見た。
あたしはその映画を観終わって号泣。
だって、まるであたしを見ているかのようだったんだもん。
好きな人には好きな人がいる。
そのくせに思わせぶりな行動とかするの。
その主人公の女の子の気持ちが痛いほど分かって胸が苦しかった。
「莉乙ちゃん、泣きすぎ」
映画館から出て近くのフードコートに行き、そんなあたしを見てクスッ、と笑う伊藤くん。
でも、よしよし、と優しく頭を撫でてくれる。
「だってぇ…っ」
あの映画の主人公は最後は好きな人と結ばれてハッピーエンドで終わった。
だけど、あたしの場合はそんなハッピーエンドじゃない。
翼くんは千鶴ちゃんと結ばれるんだ。
翼くんの隣を歩くのはあたしじゃない。
あぁ…あたしまた翼くんのことを…。
君はどうしてあたしの心の中から消えてくれないの?



