「うわぁ、多いね」
「そうだね。迷子になりそう」
こんなところで迷子になったら、あたし終わっちゃうよ…。
伊藤くんとまた会える自信ない。
「んじゃあ、ずっと手繋げるわ」
「えっ…!?」
な、なんで…?
ショッピングモールの中は暖かいよ?
「だって、莉乙ちゃんが迷子になったら嫌だもん」
そういうと、ぎゅっとあたしの手を握る力を強めた。
伊藤くんの耳は少し赤くて…なんか嬉しくなった。
「…ありがと」
あたしもそっと握り返した。
心配しないでもあたしの心は確実に伊藤くんに向いてる。
だから、このまま翼くんのことなんか忘れちゃう。
それはいい事なのに、何故か胸がチクチク、と痛んだ。



