《莉乙side》
そして、今日は約束の土曜日。
待ち合わせの場所で一人待つ。
なんか、ソワソワして落ち着かない。
一応デートだからよそ行きの服で来たけど。
翼くんとは気まずくなって避けまくった。
話しかけられそうになっても逃げた。
今、きっと翼くんに甘い言葉とか…てかまず翼くんと話すだけで諦められなくなる思うから。
「莉乙ちゃん、待った?」
翼くんと話さなかったぶん、伊藤くんとは距離が縮まった気がする。
伊藤くんはあたしのこと“莉乙ちゃん”と呼ぶようになった。
「ううん。全然待ってないよ!」
今日はショッピングモールにある映画館で映画を観る予定だそうだ。
翼くんならどこに連れていってくれたのかな?
……ってなんであたし翼くんのこと考えてるのさ。
今はデートしてるのは伊藤くんなんだから。