「翼、どうしたの?なんか怒ってる?」
千鶴が俺の顔を覗き込む。
「いや…別に」
頼むからもうほっといてくれ。
これ以上、聞かれたら千鶴に八つ当たりしてしまいそうになる。
「別にってさっきからそればっかじゃん。
あたしでよかったら相談乗るよ?」
「いや、いい。今日は一人にさせて」
そういって俺は上靴からローファーに履き替えて千鶴をおいて歩き出す。
あーあ……俺何してんの?
せっかく、千鶴と一緒に帰るチャンスだったのに。
でも、千鶴と話してても頭の中をチラついたのは莉乙の顔だった。
あー…ほんとマジで俺の気持ちはどうなってんの?
自分でも理解できないほど複雑に心の糸が絡み合っているんだ。



