「お前のくせに……」
「あたしが誰と何しようが翼くんには関係ないじゃん。
さっき、翼くんもそういってたし」
冷たい空気の廊下にあたしたちの声が大きく響く。
所詮、あたしと翼くんはクラスメイト。
それ以上の関係もなにもない。
翼くんがあたしを引き止める理由もない。
それに、あたしが翼くんにすがり付く理由も……。
どんなに好きでも叶わないんだもん。
「お前はずっと俺を好きでいろよ。……他のやつのとこなんて行くなよ」
急に声が弱々しくなる翼くんはほんとにズルい。
弱々しい声でそんなこと言われたら、またあたし期待しちゃうよ?
「翼くんを好きでいても辛いだけだもん。
ずっと、想ってても翼くんはあたしのことなんかちっとも見てくれないじゃん」
口を開いたら本音がポロポロとこぼれ落ちていく。
あたしを見て欲しくてキスしたのに。
君はあたしのことを期待させるだけでちっとも見てくれなかった。