下駄箱で上靴からローファーに履き替える。
そして、歩き出そうと足を一歩前に出したとき
「お前くせになに浮気してんの?」
聞き覚えのある声が聞こえてきて後ろを振り向くと
そこには今一番会いたくない翼くんがダルそうにスクールバックを持って立っていた。
浮気って…別にそんなんじゃないし。
というか、そもそも翼くんとあたしは付き合ってないし。
「つ、翼くん…」
なんでここにいるの?
千鶴ちゃんと帰ったんじゃないの?
さっき、二人が仲良さそうに並んで教室から出ていくのを無意識に目で追っていたから。
「なぁ……聞いてんの?」
「つ、翼くんには関係ないじゃん!」
あたしのことなんかなんとも思ってないくせに。
なのに、どうしていちいち構ったりするの?
あたしのことなんかほっとけばいいのに。
せっかく、あたしは翼くんを諦める決意をしたのに。