「あの……離してください」
あたしは今すごい傷ついてるんだから。
そんな中途半端な優しさはいらないの。
あたしは……翼くんの優しさがほしい。
「何あったんでしょ?男絡み?」
伊藤くんはあたしの話なんてまるで無視。
むしろ、ぐいっともっと密着する体。
不覚にもドキリッとしてしまう。
「別に……」
「俺が聞いてあげるよ?」
優しい声につい惑わされそうになる。
心に迷いが生まれる。
ここで伊藤くんに甘えて話したらあたしは翼くんを好きじゃなくなれる?
伊藤くんを好きになれる?
翼くんへの想いを全部打ち消して忘れられる?
「誰も、お前になんて…話さねぇよ…」
「な、んで……」
そこに現れたのはゼイゼイと息を荒くした翼くん。



