ずっと前から分かってたことじゃん。
翼くんが千鶴ちゃんのことを本当に大事に思ってることぐらい。
幼なじみ以上の感情があることも。
でも、それを改めて目の前で見せつけられると結構ダメージ喰らうんだよなぁ。
溢れて出てきそうな涙を唇をギュッと噛みしめて必死に堪える。
気を抜いてしまえば、きっとあたしはここで泣いてしまう。
それだけは避けたかった。
「大丈夫だよ…翼。ありがとう」
「無理すんなよ。なんで一人で行くんだよ」
そんな二人の会話にこれでもかというほど胸がぎゅうっと締め付けられて苦しくなる。
叩かれた左頬よりも心の方が痛くて。
どうしようもなく、痛くて苦しかった。
きっと、変な期待しちゃいけないって思いながらも
心のどっかではその期待をしてしまっていたからだ。
ほんと、あたしってばバカだなぁ。
自分で自分の首絞めてるようなもんじゃん。
これ以上、ここにいちゃいけない。
そう思ったあたしは何も言わずに黙って立ち去ろうとした。



