「なぁ……なんでお前は俺なの?」
体が離れて、再び翼くんと視線が絡み合う。
そう尋ねている翼くんの顔はどこか真剣でドキッとした。
「……チャラくて意地悪なのにホントはとっても優しい人だから」
あの日見た翼くんは髪の毛の色も黒くて、美少年って感じだった。
だけど、高校に入学すると黒かった髪の毛は明るくなっていてビックリしたのを覚えてる。
「…んだよそれ。
じゃあ、なんで俺にキスしたわけ?」
「だって……ちょっとでもあたしのこと見てほしくて…」
顔から火が吹き出そうだった。
だって、本人を目の前にしてこんなこと言うんだから。
「ふーん…」
キスは失敗に終わったけど、
こんなにも翼くんと喋れているから後悔はしてない。
翼くんはそういうと、あたしから離れてベッドに座った。
ギシッ、とスプリングの軋む音が静寂な部屋に響く。
「ふーん」って何なの?
何か言ってくれてもいいじゃんか。



