いつの間にかあたしは翼くんの温もりに包まれていた。
あれ……?
なんであたし抱きしめられてるんだろう。
翼くんはあたしのこと…
ちょっとでも女の子として見てくれてる?
「冗談だっつーの」
薄い浴衣だから、いつも以上に翼くんが近く感じる。
どちらの鼓動かは分からないけどドクドクッ、と速く心臓が音を立てている。
翼くんの鼓動も速い……気がする。
そんなことだけで嬉しくなる。
「だよね」
あたしもそっと彼の腰に手を回す。
もし、君があたしを千鶴ちゃんだと思って抱きしめてるとしても、あたしは今この幸せを感じていたい。
「お前のくせに生意気」
「生意気でもいいし」
「開きなおんなよ」
すぐそばから聞こえてくる翼くんの声。
吐息が耳にかかってジンジンと熱くなる。



