『何探してんのか教えてくれねぇと探せねぇんだけど』
『あっ…じゅ、受験票です…』
口に出しただけでも情けなさと恥ずかしさに襲われる。
『はぁ?お前受験票なくしたわけ?』
彼は当たり前のリアクションをした。
受験票を無くしたといったら、みんなその顔をするだろう。
あたし…ほんとバカだ。
はぁ…あたしってばなんで知らない人に迷惑かけちゃってるんだろう。
しかも、この人も早く会場に行かないといけないはずなのに。
思えば思うほどに自分に腹が立ってきて泣きそうになる。
『そんな顔すんなよ。必ず俺が見つけてやるから』
彼はそう言って優しく目を細めると、
あたしの受験票を必死になって探してくれた。
そのときにあたしは
名前も知らない彼に恋をしたのだ。



