「お世辞じゃないよ」
ふわり、と柔らかく笑った顔もこの前に見た翼くんにそっくり。
「父さん、そのくらいにしとけよ。
そいつの顔赤くなってるだろ……?」
えっ……?
今、あたし翼くんの声が聞こえたような気がするんだけど。
気のせいだよね?
会いたすぎて、ついに幻聴聞こえちゃったんだ。
「お父さん、今あたし幻聴聞こえたんだけど」
「急に何言ってるんだ、莉乙」
突然、そんなこと言い出した
あたしにお父さんはさすがに呆れた様子。
「だって、今翼くんの声がしたんだもん…!」
いや、お父さんに“翼くん”とか言っても
通じないのは分かってるけどさ…!!
こんなところにいるはずのない翼くんの声が聞こえるんだよ…!?
怖いじゃん…!!!
「勝手に俺を幻にすんじゃねぇよ」
ポンッ、と肩に手を置かれた。
その手の主は……
他でもないあたしが会いたいと思っていた翼くんだった。



