「なに?」
翼くんは何も無かったかのようにパンケーキを頬張っている。
よく、そんな普通にできるなぁ…ってあたりまえか。
翼くんはあたしのことなんとも思ってないんだもん。
意識してるのは所詮あたしだけなんだから。
「あ、ううん。何でもない」
あれは思わせぶりな翼くんのあるある行動だから。
もう忘れよう。
いつまでも覚えてても虚しくなるだけだ。
「お前、あーでもしないと俺に食べさせてくれなかったろ?」
「へっ?」
予想外の言葉にあたしは自分の耳を疑った。
パンケーキなら、「いる?」って聞いたはずだよね…?
でも、翼くんがいらないっていうから。
「だから、お前が俺に“あーん”にしてくれなったろって聞いてんの」
恥ずかしいのか何なのか少し俯き気味で話す翼くん。



