君への思いは宙を舞う

*










目が覚めると、そこは病院だった。



起き上がろうと体に力を入れる。


でも、痛くて痛くて無理だった。






「あ、遥也…目、覚めたか?」





直輝が、俺をのぞいて言った。





「俺、なんで…?」


「試合中に、倒れたんだよ。覚えてねーのかよ。」


「倒れた?」






うん。と直輝は力強く頷いて続けた。





「フライを取ろうとして、サードとぶつかっただろ。」


「…そうだっけ、」







覚えてない“フリ”


本当は覚えている。はっきりと。

目を閉じただけで、すぐそこに見えるくらい。




ショート、それが俺のポジション。

二塁と三塁の間を守る大事なポジションだ。




そして、倒れた原因は…


ごく平凡の内野フライだ。



ポーンと宙に舞いあがる平凡の打球。

ミスをしようがない。




でも、現に俺は病院のベッドの上にいる。





サード。三塁手との連携がなってなかったんだ。

あの時に、どちらかが…俺が、声を出していたら
こんなことにはなってないだろう。



風にあおられて、打球はフラフラだった。


それを、追いかけるのに必死で俺は他のものが見えてなかった。








「お前、足を変に捻って骨折したんだよ。」

「骨折?」

「そうだよ、どうすんだよ。この大事な時期に。」





甲子園前のこの大事な時期に骨折なんて。

大事な夏に骨折なんて。





「そんなん、わかんねーよ。」






くやしくて。くやしくて。








*