君への思いは宙を舞う












目が覚めると、そこは病院だった。



起き上がろうと体に力を入れる。


でも、痛くて痛くて無理だった。






「あ、遥也…目、覚めたか?」





直輝が、俺をのぞいて言った。





「俺、なんで…?」


「試合中に、倒れたんだよ。覚えてねーのかよ。」


「倒れた?」






うん。と直輝は力強く頷いて続けた。





「フライを取ろうとして、サードとぶつかっただろ。」


「…そうだっけ、」







覚えてない“フリ”


本当は覚えている。はっきりと。

目を閉じただけで、すぐそこに見えるくらい。




ショート、それが俺のポジション。

二塁と三塁の間を守る大事なポジションだ。




そして、倒れた原因は…


ごく平凡の内野フライだ。



ポーンと宙に舞いあがる平凡の打球。

ミスをしようがない。




でも、現に俺は病院のベッドの上にいる。





サード。三塁手との連携がなってなかったんだ。

あの時に、どちらかが…俺が、声を出していたら
こんなことにはなってないだろう。



風にあおられて、打球はフラフラだった。


それを、追いかけるのに必死で俺は他のものが見えてなかった。








「お前、足を変に捻って骨折したんだよ。」

「骨折?」

「そうだよ、どうすんだよ。この大事な時期に。」





甲子園前のこの大事な時期に骨折なんて。

大事な夏に骨折なんて。





「そんなん、わかんねーよ。」






くやしくて。くやしくて。