桜舞い散るこの季節‥


私、松井紗季は桜花学園に入学した。
今日は入学式‥。私がここに来た理由は勉強をするためではなく、部活をするためでもなく‥そう、「人嫌いを直すため」。
そう、私は人が嫌いだ。なぜか、というのはさておき、私は今まで彼氏ができたことなどない。高校に入ったら、好きな人をりたいな‥なんてそんなことを思いながら校門をくぐった。



キャー!!蓮様!!
こっち向いて!

いきなり聞こえてきた黄色い声援。
その中には1人の男子生徒がいた。蓮という名前らしい。

うわぁ、睨んでるよ‥
朝からあんなに叫ばれてあの人も大変だなぁ‥。
まぁ、私はなんとも思わないけど。
私のクラスは‥あった。3組だ‥友達できるかな

なんて思いながら教室に入る

おはよー!!

あ、えっと‥おはよう。
んと‥お名前は??

あ、ごめん!私、麻山梨奈!
梨奈って呼んで??

あ、うん。私は紗季。紗季って呼んでね!

紗季ね!よろしく!!
早速友達が出来た。まずまずのスタートが出来たと自分でも思う。笑
梨奈は残念ながら席が遠かった。近かったらよかったな‥。
隣の人は誰だろう?? なんて思いながらキョロキョロと周りを見回してみる。
するとしばらくして1人の男子がこっちに向かって歩いてきた。

‥あ。この人、さっき女子に囲まれてた人だ‥。
声、かけたほうがいいのかな??挨拶ぐらいしておいたほうがいいよね?!
なんて自分の中で葛藤しながら、蓮という人に挨拶してみた。

「お、おは、おはようっ!!」

なんて、情けないんだ‥。おはようすらもまともに言えないなんて‥。
ぎゅっと目を瞑って下を向いていると、返ってくると思っていたはずの返事が返ってこなかった。

‥‥。

あれ??

あの‥おはよう??
もう1回言ってみる。

あぁ??うっせーんだよ黙れ。

えっ‥。私、何もしてないのになんでこんなこと言われなきゃいけないの‥?
傷ついた。人間嫌いを直そうとしていたところだったのに‥。

あ‥ご、ごめんなさい‥。
謝ることしかできなかった。


そんなに‥言わなくてもいいのに。なんであんなに冷たくされたんだろう。
辛かった‥でもこの時にはもう、私の中では何かが動き始めていたんだ‥


蓮side

キャー!!蓮様!!
こっち向いて!


あーうるせぇ、うぜえ。
なんで学校くんのに毎日毎日こんな声聞かなきゃなんねぇんだよ。
学校をなんだと思ってるんだ。


俺は、女が大嫌いだ。
俺の見た目だけで近寄ってくる女ばかりだった。誰も中身なんか見ちゃいねぇ。
見た目がよければなんでもいいのかよ。

俺が女嫌いが激しくなったのは中学3年の終わり頃。
理由は単純なことだった

好きで好きでしかたなかった、大切にしていた彼女に裏切られたことだった。
理由は‥イケメンだから付き合ってたけど飽きた。好きな人ができたからもう蓮のことはどうでもいい、と。
こいつしかいなかった俺にとってこの別れのショックは大きかった。
俺は 竜本蓮。
父さんは会社の社長で、母さんは外科医をしている。そんな家系で育った俺は、昔からひとりぼっちだった。そんな俺を救ってくれたのが、松下 凛音。凛音はこんな俺に手を差し伸べてくれた。女は誰1人信じてなかった俺も、凛音だけは特別だった
でも‥凛音は俺を裏切った。
それ以来女嫌いはいっそう激しくなった

高校に入ってからは女とは極力関わりたくないと思っていた。なのに‥

「お、おは、おはようっ!!」

なんでこんな挨拶されんだよ。関わりたくない。その一心で無視をした。
俺は、もう誰も信じないと決めたんだ‥。