小学6年生の頃。私には、中学受験する友達がいた。


高部 里香(たかべ りか)ちゃん。



その頃の私は、初恋もまだで。


里香ちゃんも、そうだと思っていた。


だけど、そうじゃなかった。


私たちは、仲の良い男友達が二人いた。


……私たちは、そのうちの一人を好きになってしまった。


ある日、里香ちゃんから告げられた、その人への思い。


その人の話を、楽しかった思い出を聞く度に、大切な里香ちゃんの話なのに、
“聞きたくない”という気持ちが募っていた。私は、気付いていなかっただけで、

好きになってしまっていたの。


卒業間際、“卒業式の日に告白する”と里香ちゃんから言われた。


…嫌だった。…でも、私は、どうしたら良いのか分からなかった。


でも、里香ちゃんのことだから。

話せばきっと分かってくれる、と思って、私は自分の気持ちを正直に話そうと決めた。


だけど、里香ちゃんは勉強で学校を休むことが多くなって。

ケータイも持っていなかったし、なにより直接伝えたかった。


やっと会えた日は、里香ちゃんが告白する日、卒業式の日だった。


私は、なんてバカなんだろう。


そんな大事な日に、私は、里香ちゃんに私の気持ちを伝えてしまった。



私の気持ちを知った里香ちゃんは、私が思っていた反応とは違って。


泣きながら怒っていた。告白せずに、卒業式が終わった。

里香ちゃんも私と同じように、その人を誰かに取られたくなかったのだと思う。


私は、里香ちゃんを傷つけた。


里香ちゃんとは、中学が別れて、卒業式の日関係が悪くなったままだ。


もう二度と、あんな思いはしたくない。


誰か、大事な人と好きな人が被るくらいなら、私が諦めれば良い。

辛い思いをするのは、私だけでいい。



私は、あの時から今も、きっとこれからも、こう思って生きていくのだろう。