「ホントごめんな麦原。
じゃあ、気を取り直して次ー!」
そう言って先生は次の人の名前を呼び出したけど、
先生!私は気を取り直せないです!
と一人心の中で怒っていると
「紬、大丈夫?…じゃないね。膨れっ面してるよ?」
心配に思ったのか、前の席の柊斗が振り返った。
「え、うそ!そんなに顔に出てた?
でもそんなことより、大丈夫じゃないよー柊斗ー。名前がー私の大事な名前がー。」
「まぁまぁ、先生もわざと間違えたんじゃあるまいし、これきっかけに皆に名前覚えられたんじゃない?」
「…うん、そーかな…。」
「そーだよ、きっと。」
柊斗に言われると、なんだかそんな気がしてきた。
柊斗って、人の怒った気持ちとかを和らげてくれる才能があると思う。
「うん、ありがとう、柊斗。」
私は満面の笑みで笑った。
すると柊斗は、
「あー、これは大翔の気持ちも分かるわー。」
と言いながら、前を向いた。
え?ひろ?どーしてここでひろの名前が出てくるの?
そう思って
「柊斗…」
と話しかけようとしたら
「よし!これで終わり!…っと!入学式まで時間がねぇ!
よし、じゃあみんな、体育館行くぞー!」
という先生の声にかき消されてしまった。
それでも柊斗には聞こえたのか、
「紬?」
と椅子から立ち上がりながら言ってくれたけど、
「あっ、柊斗ごめん。後でいいや。」
と言って私も立ち上がった。
もー、先生はどこまで私の怒りを募らせるつもりですかっ?
と先生に言いたかった。
悪い先生じゃなさそうだけどさ…。

