その後、駅に止まって、もっとたくさんの人が電車に乗ってきて、皆で密着状態みたいになった。
「…満員電車って、こんなにキツかったんだ……。」
「今日は入学式だから特にだよ。頑張れ、大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ。ありがとう。ひろは?大丈夫?」
「俺を心配するとか、100年早いっての。」
ニカッと笑ってひろは言う。
「ふふふ。そっか~。」
吊られて私も笑った。
そこで、電車が曲がった衝撃で横から押された私はバランスを崩した。
「わわっ…!」
目を開けると、そこは真っ暗で。
…あれ?私今、どうなってるの?まさか本当に失明しちゃった?
でも何故か、落ち着くひろの匂いがする。
━━トク、トク、トク、トク…
と聞こえる音。…これは、心臓の音?
しかも、早い。
それにつられるように、私の心臓も早鐘を打つ。
━━トク、トク、トク、トク…

