「あっ!」
ホントは大声を出したいくらいだったのだけれど、ここは電車内なので、小声でしか喋れません。
「どした?」
「さっきひろ、私の口塞いで、言葉遮ったでしょー!どうして?」
地味に苦しかったんだからね。
少しだけ、ひろを睨んだ。
「え?それは…だって、あのままだったらお前、
“私たちはいつもこんな感じだよ?”とか言いそーだったじゃん。
そんなに睨むなって。…ちっとも怖くねーけどな。」
「こ、怖くないのはちょっとしか睨んでなかったからだよ!
っていうか、どうして私の言おうとしたこと分かったの?ひろはエスパーか!」
「ちげーよ。(笑)何年一緒にいると思ってんの。」
「そっか。…でも、どーしてあそこで言っちゃいけなかったの?」
「それはだな…とにかくダメだったんだよ。」
「んー、そっかぁ。」
理由、あんまり言いたくなさそうだし、あんまり深入りしちゃダメだよね。
私はあんまり納得がいかなかったけど、そう考えてこれ以上何も聞かないことにした。

