十月桜

男の子が喋ったのと同時に強めの風が吹き、最後の言葉が聞き取れなかった。


「すいません、覚えてるの後……聞こえなかったんですけど……」

「何でもないよ。それじゃあ俺は行くよ」



あ……せっかく覚えてくれてたのに、行っちゃう。

でも、何話せば……。

もう一度会えたのに……もう会えないかもしれない。


「あの!あなたの名前、教えてください!」


声を振り絞って、大きな声で。