―グチャッ・・・ぶちゅっぐちゃぐちゃ・・・ばしゃっ―



触った瞬間いやな音を立てて、人の体が信じられない方向に曲がった。そして、体が膨らんみ跡形もなくはじけ飛び、鉄のようなにおいが充満した。
周りを見渡すとそこには赤黒い液体が散らばった風景が広がっていた。
風が話しかけるように私の周りを過ぎ去っていく。
<平気?大丈夫?>
まるで私を慰めるかのように流れる風。
歩いてくる人らしきものもみんな自分の近くに来た瞬間にはじけ飛んでいく
目の前にぼとっと音を立てて何かが落ちた。
それは、人の脳みそだった。

「ぐぅっ、うううううう!!ぐわぁぁぁ――――」



自分でも信じられないような声を出していた。
止まらない自分の声と地和いてくる人らしきものがはじけ飛ぶ風景。
そして風が私の横で慰めるようにして流れていく。
<大丈夫。あと少ししたら消えてなくなるよ。大丈夫、だいじょう
「大丈夫じゃない!!慰めの言葉なんていらない!!現実を思い出して悲しくなるだけだよ!!そんなの優しさでも何でもない!!ただのひどい言葉じゃない!!」
「そうだよ。でも、おねえさんはそれを平気で優しさだと思って言ってたよね?」
後ろから幼い声がした

私の後ろにいたのはかわいらしい顔をした女の子だった。
「な、何なのこれは!?現実なの!?それとも…」
「ここはね、優しいところ。」
笑顔で私にそう言って、ひょいっと信じられない跳躍で、軽々と塀の上に登る女の子。
そして、ゆっくりと私を指さした。
「あなたが言っていた優しさを与えられた人たちが死んでいく姿よ。」
「そんな!!優しい言葉をもらったんでしょ!?ならなんでこんなに死んでいるの?何で爆発するみたいに死んでいるのよ!?」
私は涙を流していた。
女の子に大声で叫んでいた。
女の子は冷たい笑顔を私に向けた。
私は背筋に悪寒が走り、その場にへたれ込んでしまった。
「あなたが言った優しさはね、ただの憐れみでしかないの。人のことをバカにするようなまるで悪夢を教えるような悲しい、最もひどいことなの。」
母親が娘に教えるような優しい口調だった。
その優しい口調はまるで悲しいことを教え込まれる拷問のようだった。