男性は、横たわっている自電車を元に戻して壊れていないかを確認していた。

「自電車、無事みたいなんで……大丈夫です」

風邪なのか、ガラガラな声で男性は発した。

「……無事でよかったです」

私は自分のことのように安心して男性に言いかけたら

「ねぇ、パパ。まだ?」

 うん? その男性の声の低さとは裏腹に、声が高かった。

「ごめんな、ちょっと待ってな。今からパパ仕事だから」

 声が高いと思ったら、その人の後ろに隠れていたのは、女の子。

 パパということはその人の娘―! 

な、何故ここに。

「あ、すいません。わたくしは、こういう者です」