諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


まあ、子どもの頃はそんなもんか。

いや、でも仲良い男子とそんな遊びしてたっけ?

 私が知らないだけか。

「それで、今は?」

 ヨイショと立ち上がり彼は、一瞬私を見て言った。

「……分からない。一年会ってなかったからな。心境も変わるかもな。でもあいつが戻って来れるように、ここの従業員として、籍はおいてたんだ」

「……コバさんはその一年何をしてたんですか?」

「カメラの修行。カナダだっけな。一人でカメラの腕極めるって言って。それきり、帰って来なかった」

 少し寂しそうな表情を浮かべて、強く瞼を閉じていた。