諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


深く深呼吸をして松岡さんはコバさんに話しかけた。

「……コバ。金銭面は、俺がなんとかするから大丈夫だぞ。そこを気にしてるのか? それか、なんかあっちであったのか?」

 コバさんは、ハッと顔を上げて松岡さんを見た。

「……いや別にない。そんなことより、バイト代のお金はどっから出てくるんだ? お金はもしかして……あの人から貰ってんのか?」

「お前が気にすることじゃない。だから、金銭面は俺が払うから大丈夫だ。会社員になんてならなくても大丈夫だぞ!」

 まだ右手で拳を握りしめてコバさんは下を俯いていた。