「陽琉―!」
後ろから声がした。
松岡さんとコバさんが居間から出てきた。
昨日来たくるみさんのお客様から、珍しく本を売ってくれたので、松岡さんが値段を付けてくれた本を棚に入れていた。
くるみさんのお客様は、一ヶ月に一回に来る予定だった。
だが週二回は私の計算では来ている。写真を撮るのではなく、ただ話をするだけだ。
これで、夢を叶えられるというのか。
「な、なんでしょうか?」
私は松岡さんの声に反応して聞いた。
「あのさ、陽琉。コバがね、陽琉が女性を紹介してくれないと嘆いてるんですがどうしたらいいだろう?」
知るか! そんなもん。
勝手にしてろと思ったが、心の声が聞こえないように平然とした声で言った。

