諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます



ただ単に、女性の匂いを嗅ぎたいだけということに。

または、自覚してるけどやめられないのか?

「あの言っておきますけど、もう狙い、分かってるんで」

 狙い? ああと呟いた途端、私に言った。
「俺、匂いフェチだけど。女性には親しくなるまでやらない主義だから」

 嘘つけぃ―! 今、私にやったではないか。

「ああ、でも、陽琉さんだっけ。陽琉さんは論外だから。覚えておいてね」
 
コバさんは私にそう言って靴を脱ぎ、松岡さんの所へ行ってしまった。

 論外って。恋愛対象って意味か。

 そんなの私も論外だわ。

 ひとりになったので、誰にも分からないように舌打ちをした。