諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


「こいつ、変なところあるけど。しっかりしているから。安心して、こいつに言ってね」

 松岡さんは笑顔で言ってから、コバさんを残して奥の部屋に行った。

コバさんは初めて私に話しかけてきた。

「あんた、女子の友達いる?」

 はい? と身を屈めながら私は彼に言った。

「いますけど」

 私がそう言った瞬間、さっきのテンションとは違い、声のトーンが高くなっていた。

「え、マジで―! じゃあ俺に紹介してよ」

 コバさんは満面な笑みをしていた。

「嫌です!」

 私は真顔で拒否した。

 眉を寄せて彼は、不満げな表情を浮かべていた。

「はあ? 何でだよ! 俺に、女子紹介するくらいいいだろう?」

 この人は、分かっているのだろうか?