諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


松岡さんは、少し微笑んで答えた。

「大丈夫だよ、心配しないで。あ、そうそう言い忘れてたけど、この店の従業員はね。陽琉含めて、三人だからね」

 私含めて、三人か。

 くるみさんと私、後は誰だろう?

「……帰り送っていくけど?」

 松岡さんは、私と話している間にいつの間にか両手にピヨを抱えていた。

「いえ、大丈夫です」

「いや、ピヨの散歩しなくちゃ行けないから。送るよ」

 私にそう言って、ピヨを連れて私達は外に出た。

「そういえばピヨ、店にいなかったですけど。何処に行ってたんですか?」

「本当はね、ひと時も離れたくないんだよ。まぁこのネコのストラップ持ってるから大丈夫だけどな」

「なんで、ネコのストラップ持ってるから大丈夫なんですか?」

 カバンに付けていたネコのストラップを左手で掴んで、懐かしそうに彼は眺めていた。