諦めた夢を古本屋『松岡』が叶えます


「何見てんのよ!」

「あ、すいません」

「だからあなたも信じてれば大丈夫よ。私はまだまだみたいだけどね。後、陽和帰ってくると思うから」

それだけ言い捨て、彼女は帰っていた。

モデルとしてやっていける素質はあるはずなのに。

なんで、受からないんだろう。

 他人事ではないが、くるみさんには頑張ってほしいと心底思った。

「ただいま―」

 顔を上げると、松岡さんであった。

「あ、おかえりなさい」

「あれ? まだ帰ってなかったんだ」

「今帰る所です」

「そうか、今日は面白かっただろう?」

「はい。面白かったです。あの一つ質問していいですか?」

「いいよ。何?」

「この店は、私のアルバイト代も出るんですよね? お客様もあまり来られないし」