「何見てんのよ!」
「あ、すいません」
「だからあなたも信じてれば大丈夫よ。私はまだまだみたいだけどね。後、陽和帰ってくると思うから」
それだけ言い捨て、彼女は帰っていた。
モデルとしてやっていける素質はあるはずなのに。
なんで、受からないんだろう。
他人事ではないが、くるみさんには頑張ってほしいと心底思った。
「ただいま―」
顔を上げると、松岡さんであった。
「あ、おかえりなさい」
「あれ? まだ帰ってなかったんだ」
「今帰る所です」
「そうか、今日は面白かっただろう?」
「はい。面白かったです。あの一つ質問していいですか?」
「いいよ。何?」
「この店は、私のアルバイト代も出るんですよね? お客様もあまり来られないし」

