あなたの店じゃないんだからさ。
昇哉が見たら、どんな反応するのだろうか。
私には関係ないが、こんな可愛い顔を見たら惚れるに決まっている。
今こんな顔したら可愛さが台無しなのではないかと思えた。
そんなことよりも、お客様が指定のお客様しか来ない。
どういうお客様が来るかよく分からないが限られている。
モデルの関係者。
まだそれしか知らないが、お客様は少な過ぎるのではないか。
アルバイト代とかは、ちゃんと出るのだろうか。
一般の古本屋とは違うからどうなるのか不安になった。
「あなた、聞いてる?」
くるみさんは、私の近くにいた。
「すいません。考え事してました」
深いため息をつき彼女は言った。
「人の話は聞いてよね。あなたにも事情があると思うけど、ここは、本当に夢を叶える為には、いいところだから。それだけは、覚えておいて」
右手で長い髪を後ろにやり、彼女は視線を下にうつしていた。
「あの、夢って本当に叶うんでしょうか?」

