「くるみさん、終わりましたけど」
「あ、終わった? 昇哉、終わったって。まあ、私がモデルになれるように頑張るから見てなさいよ、昇哉」
「はいはい、分かってます。それ何度聞いたか。でも、俺は待ちますけどね。じゃあ、行くわ」
昇哉はガタっと椅子から立ち上がり、私を黒目だけちらりと見て、礼をして帰っていた。
はあ―楽しかったとくるみさんは言ってから靴を脱いでいた。
奥の部屋にいき、カバンを取りにいたようだ。
「あなた、今日の仕事終わりよ。後は、お客様は来ないと思うから上がってもいいわよ」
彼女は私にそれだけ言い、私の返答を待っていた。
丁度お金を整理し終えたので、彼女に店の事について疑問に思ったので聞いてみた。
「はい。いやでも、まだ一六時ですよ。閉店する時間じゃないんじゃないんですか」
「まだ分からないの? ここはね、指定のお客様が来たら、それで仕事終了なのよ。一般の古本屋とは違うところがあり過ぎるけど、ここでは当たり前なのよ!」
腰に手を当て鼻で笑ってドヤ顔で彼女は私に言ってきた。
そんな顔しなくても。

