「……なんなんだ。これ?」
中年集団と昇哉が古本を選び始め、何を読もうか考えていた。
私はほうきを片手にその風景を見て呟いた。
そう言った途端、くるみさんは腕を組みながら私の近くにやってきて言った。
「どうだった? 私のポージングは」
くるみさんのポ―ジングは凄かったよ。
私が知りたいのは、今あった出来事だ。
あ、はあと私は彼女に言い、愛想笑いを浮かべた。
それに気づいたのか、彼女は私に言ってきた。
「驚いた? やっと、この店の仕組み分かった?」
いや、分かるはずない。
くるみさんがモデル事務所と思われる人に写真を撮られて、事務所に入るか入らない。
最後には古本を買う。
分かるはずがない。
「いや、分からないです」
くるみさんは、あなたバカね―と言葉は厳しかったが、眉毛がタレ下がり優しい目をしていた。

